logo

相続放棄って何?|必要な手続きと書類についても解説

2024.9.30

  • 相続
  • 費用

皆さんは、相続が発生した際に「相続放棄」ができることをご存じでしょうか?さらに、相続の際に、得られるプラスの財産を限度に債務も引き継ぐ「限定承認」という相続方法があることはご存じでしょうか? 今回は、相続が発生した際に選べる3つの相続方法について、そしてそれぞれの方法を選ぶために必要な手続きについて解説していきます。

相続発生時に取れる3つの方法

相続が発生した際には、相続が開始されたことを知った時から3か月以内に、相続方法を決定する必要があります。その選択肢としては、以下の3つがあげられます。

相続放棄

「相続放棄」とは、相続が発生した際に相続することとなる財産の全てを引き継がずに放棄することを言います。「相続することとなる財産」には、プラスの財産である不動産や現金、有価証券などに加えて、マイナスの財産である借金や保証債務等も含まれます。そのため、マイナスの財産の方が多い場合には、相続放棄を選択することで、被相続人(=故人)の権利や義務を受け継がないことが可能となります。

限定承認

「限定承認」とは、相続が発生した際に、被相続人の負債額が不明な場合に選択できる相続方法です。この方法では、相続人が受け取るプラスの財産を限度として、被相続人の債務も引き継ぐことになります。そのため、プラスの財産の方が多かった場合には、財産が残る可能性があります。

単純承認

上記の二つのような相続方法を選択しない場合、自動的に「単純承認」したとみなされます。こちらは、相続することとなる財産の全てを相続するという相続方法で、実際に相続を開始するために、法定相続人全員で遺産分割協議を行うことが一般的とされています。

相続方法を確定させるための手続き

相続方法の中で、「相続放棄」や「限定承認」を選択する場合には、特別な手続きを行う必要があります。 その手続きとは、「家庭裁判所への申述」です。 申述を行うためには、自身が相続人であると知ってから3か月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申述を行う必要があります。

相続放棄のために必要な書類

申述に必要な費用は、以下の通りです。 ・収入印紙800円分 ・連絡用の郵便切手 ※金額は、申述先の家庭裁判所に確認してください。家庭裁判所によっては、「裁判手続を利用される方へ」の中に記載されている場合があります。 申述者の相続順位に関わらず、申述に必要な書類は以下の通りです。 ・相続放棄の申述書 ・標準的な申立添付書類 ・被相続人の住民票除票または戸籍附票 ・申述人の戸籍謄本 申述人の相続順位によって、申述に必要な書類は以下の通りです。 申述人が、被相続人の配偶者である場合 ・被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本 申述人が、被相続人の子又はその代襲者である場合 ・被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本 ・申述人が代襲相続人の場合、被代襲者の死亡の記載のある戸籍謄本 ※ここでの代襲相続人とは孫やひ孫などのことを言い、被代襲者は本来の相続人である被相続人の子供などのことを示します。 申述人が、被相続人の父母・祖父母などの場合 ・被相続人の出生から死亡時までの全ての戸籍謄本 ・被相続人の子で死亡している方がいらっしゃる場合、その子の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本 ※被相続人の子には、子供本人とその代襲者も含まれます。 ・被相続人の直系尊属に死亡している方がいらっしゃる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本 ※この戸籍謄本は、相続人より下の代で直系尊属(父母や祖父母)が死亡している場合に必要となります。例えば、相続人が祖父となった場合に、父母が亡くなってしまっていることを証明する戸籍謄本が必要となります。 申述人が、被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者の場合 ・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本 ・被相続人の子で死亡している方がいらっしゃる場合、その子の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本 ・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍 ・申述人が代襲相続人の場合、被代襲者の死亡の記載のある戸籍謄本 ※ここでの代襲相続人とは、被相続人から見て甥や姪のことを言います。 わかりずらい場合には、専門家にご相談することをお勧めします。

限定承認のための必要書類

限定承認を選択する場合、法定相続人全員で話し合いを実施し、その全員が限定承認に賛同した場合、法定相続人全員が共同で申述を行う必要があります。その際の費用に関しては、相続放棄の場合と同額となります。 しかし、書類に関しては「相続放棄」と異なる書類が必要となります。それらを以下に示します。 申述者の相続順位に関わらず、申述に必要な書類は以下の通りです。 ・申述書 ・標準的な申立添付書類 ・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本 ・被相続人の住民除票または戸籍附票 ・申述人全員の戸籍謄本 ・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本 申述人の相続順位によって、申述に必要な書類は以下の通りです。 申述人が、被相続人及びその配偶者の父母・祖父母の場合 ・被相続人の直系尊属に死亡している方がいらっしゃる場合、その直系尊属の死亡の記載がある戸籍謄本 ※今回の「直系尊属に死亡している方」の対象には、相続人と同じ代及び下の代の直系尊属が当てはまります。そのため、もし祖父が相続人となった場合、必要な戸籍謄本は、父母と祖母の3つとなります。 申述人が、被相続人の配偶者のみの場合、又は被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者の場合 ・被相続人の父母の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本 ・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本 ・被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本 ・代襲者としての甥・姪で死亡している方がいらっしゃる場合、その甥又は姪の死亡の記載のある戸籍謄本 が必要となります。 わかりずらい場合には、専門家にご相談することをお勧めします。

「相続放棄」をする場合と「限定承認」する場合で、必要書類が異なりますので注意しましょう。

参考:裁判所 相続の放棄の申述書

参考:裁判所 相続の限定承認の申述

限定承認や相続放棄をするための注意点

1. 申述可能期間内に申述を行う

先述の通り、申述可能期間は、相続が開始されたことを認知してから3か月となります。その期間は、熟慮期間と呼ばれ相続放棄を行うか、限定承認を行うか、単純承認を行うかを決めるための期間となります。しかし、この期間内に家庭裁判所から認可をもらい、手続きが終わっていなくてはいけないわけではなく、この期間内に家庭裁判所に申述書などを提出できていれば、申述は受理されます。焦りすぎることなく慎重に考慮しましょう。

2. 被相続人の相続財産を勝手に処分したり、隠匿・消費してはいけない

被相続人の相続財産を処分したり、隠匿・消費すると単純承認したとみなされてしまい、相続放棄ができなくなってしまいます。そのため、相続放棄や限定承認が認められるまでは、相続財産には触れないようにしましょう。しかし、葬儀費用は、相続財産にはみなされないため、常識の範囲内であれば故人の口座から、葬儀費用を捻出しても良いとされています。

3. 簡単にあきらめない

熟慮期間の開始日は「民法により自己のために相続の開始があったことを知った時」と定義されています。そのため、故人が亡くなってから3か月ではありません。したがって、やむを得ず相続放棄が遅れてしまったことに相当するような理由があれば、期間を超えたとしても相続放棄が認可される場合があります。また、相続後に債務などが判明した場合でも、相続放棄となる財産や債務の存在を知らなかったことについて相当な理由がある場合、それを知ってから3か月以内に相続放棄を申請すれば認可される場合もあります。そのため、弁護士の方などに相談し、簡単にあきらめないことも大切なようです。

4. 一度相続放棄をすると、撤回ができない

一度相続を放棄すると、後にプラスの財産の方が多いということが発覚したとしても、受け取ることができません。そのため、慎重に相続をどうするかを検討する必要があります。

まとめ

今回は、相続放棄や限定承認などをご紹介いたしました。相続は、非常に手続きが難しく、必要書類も多岐にわたります。さらに、故人が亡くなった悲しみの中で取り組む必要があります。そのため、積極的に専門家へ相談するなど、一人で抱え込みすぎないように注意しましょう。この記事が、相続の意思決定の一助となることを願っております。

この記事を共有

  • Xでシェア

  • LINEでシェア

  • Facebookでシェア

一覧に戻る

タグ一覧

  • 葬儀
  • マナー
  • 相続
  • 終活
  • 費用
  • 宗教
  • 家族
  • 服装
  • ライフプラン
  • ペット
  • 法要
  • お墓

TOPへ